人を知る

大学時代は学業とテニス部での活動に力を入れていました。
学業で力を入れていたのは語学です。高校までイギリスやブラジルといった海外で生活していたこともあり、異文化コミュニケーションを深めたいという思いがあり、大学でもタイの国立大学へ半年ほど留学に行きました。様々な分野の講義を受けたり、多様な国籍・文化を持つ人たちと交流したりと、自分の視野を広げ、将来像を見つめ直す良い機会となりました。

こうした海外での経験から、人と人を繋ぐ大きな仕事がしたいと考えるようになり、商社の営業職に絞って就職活動をスタート。総合商社や専門商社を中心に応募する中で、日本有数の大企業を親会社に持つ住商鋼管・メタルワン鋼管の合併というニュースを耳にして当社に興味を持ちました。鋼管分野の専門商社二社が合併することで、それぞれの強みを活かし更に上を目指すことが期待できると思えたのが、入社の決め手でした。また、当社を訪問した際の社内の雰囲気や、社員の温かな人柄にも惹かれました。部署や年齢に関係なく、オープンでフラットなコミュニケーションが取れる職場だと感じ、この環境で働きたいと強く思いました。

商社勤務と聞いて多くの方が都会の高層ビル街で活躍するイメージを持つかもしれません。しかし、当社の場合は、若手のうちからお客様の工場など、現場に行く機会も多くあります。現場研修では実際に商材を手に取り、在庫の管理や梱包作業などの力仕事も経験できます。筋トレが趣味の私にとっては、実は楽しいチャレンジでもありました(笑)。最初は少し驚く方もいるかもしれませんが、こうした経験が自分をより強くし、業務への理解を深める大きな助けになると思います。

この研修で得た経験は、商材や技術面の知識を深める上でとても役立っています。何より重要なのは、現場で働く方々の業務の流れや苦労を理解することです。これが商談において大きな強みとなり、自らの言葉の説得力に繋がります。この経験により、自信を持ってお客様とコミュニケーションを取ることができるようになったと感じています。

私の仕事は、鉄鋼・鋼材メーカーから材料を仕入れ、加工した後、大手自動車部品メーカーに納品する「トレード業務」です。自動車業界は、必要な部品を適切な数で供給することが求められるため、単に材料を仕入れて納品するだけでなく、加工から在庫管理、納入までを一貫して担当しています。仕入れる材料は数十トン単位ですが、お客様に必要な部品は数キログラムといった少量になる場合も多々あります。そのような時は、当社の在庫機能の活用や、材料の工程変更を提案するなど、鋼材メーカーとお客様双方にとって最適な解決策を見出すことを心がけています。

業務を通じて、時に緊張感のある経験もしました。エアバッグの部品を担当していた時、中国への追加材料の急な要求がありました。通常は船便ですが、緊急を要するために高額な航空便を使用する必要性が生じました。大きな損失を避けるため、上司からもサポートをもらいながらお客様側の在庫調整や同品質である別材料の採用を交渉し、最終的にはなんとか要望に応えることができました。

新人時代に先輩から教わった「商社パーソンはただの仲介役ではなく、お客様と仕入先がより良いビジネスができるよう、コンサルタントとして行動する必要がある」という言葉。今でも私の仕事の指針になっています。自動車業界は現在、ガソリン車からEV車への大きな転換期を迎えています。この変革期を乗り越えるためには、要求を聞いて繋ぐだけではなく、技術的な会話や提案もできる営業でいることが求められます。そのために、今まで以上に知識を深め、お客様とより密接な関係を構築できるよう努力していきたいと考えています。